ーー『どうせ、恋してしまうんだ。』の原作をお読みになった感想をお聞かせください。

浦:瑞々しいなと思いました。感染症の影響を受けた10代の学生たちが、どんな恋愛をしていくのか、どんな青春をなしていくのかというお話なのですが、彼らの姿を通して、その時代を生きた10代の葛藤も見ることができました。その中で、水帆が様々な青春を見つけていくのですが、少女漫画の面白さがすごく詰まっているんです。読んでいて「その気持ちに早く気づいてよ!」とか「もうちょっと素直になれよ!」と思ったりもしたんですけど(笑)、それって大人だから言えることで、実際に10代の頃って、ひと言の重みが全然違うんですよね。僕も、そのひと言で相手に嫌われたらどうしようとか、人間関係が変わってしまったらどうしようっていう悩みがあったので、それを追体験しているような気持ちで読んでいました。

新福:青春のすべてがぎゅぎゅっと詰まっているなと思いました。ただ恋愛を描いているだけではなく、感染症が流行している状況でありながらも人のことを好きになったり、目標のために一生懸命頑張ったりしている。そこに意味があるんだと、読んでいて思いました。あとはやっぱり、高校時代の話と大人になってからの話を交互に追っていけるというのは面白かったですし、先が読めないと思いました。こんなに輝月といい感じなのに、大人になってからどうしちゃったの?って気になりながら読んでいたので、そこは作品として魅力的な部分ではありました。

ーー少女漫画として、ほかにあまりない魅力というと、どこになりますか?

新福:社会人時代をしっかり描いているところは、ほかであまり見ない気がします。社会人になってからの悩み、そしてそこで再会して衝撃を受けたりする話は読んだことはなかったので新鮮でした。高校時代にだけ重点を置いているわけではないところは、好きなところです。

浦:僕は、瑞々しさとリアルさがある少女漫画だなと思いました。読んでいるだけで、自分が若返るかのような瑞々しさがあるけど、たとえば藍がインフルエンサーであったり、輝月が水泳をしていたりするけど、別に未来で世界一の選手になるわけではない。その絶妙なリアルさがいいなと思いました。現実の延長線上にある物語になっていて、もしかしたらそういう人たちがいるかも知れないと思わせてくれるところがあったので、そこが共感を呼ぶのかもしれないですね。

ーーオーディションの思い出はありますか?

浦:まずはテープオーディションで輝月くんを受けさせていただいたんですけど、何度原作を読んでも、何度口に出してみても、自分に馴染まなかったんです。これまで受かってきたキャラクターは、口に出してみたとき、なんとなく自分に合うなと思うことが多かったので、スタジオオーディションに進めたことにも、正直驚きました。で、そこからスタジオオーディションでディレクションを受けたときに、僕が思っていた輝月像がそもそもズレていたんだということに気づいたんです……。

ーーどこがズレていたのでしょう。

浦:実写的なお芝居を目指すという話をどこかで聞いていて、それを意識するあまりに輝月のことをちゃんと見れていなかったんですよね…。「今のは実写的にやろうとして、音を小さくしているだけだから」という言葉をいただいて、それを踏まえてやってみたときに「あぁ、輝月ってこういう人間なんだ」というのが初めてわかって、だとしたら自分でも馴染めるのかもしれないと思って、やらせていただいた結果、ありがたいことに選んでいただけたので、あのディレクションがなければ、絶対にこの場にはいなかったと思います。輝月って、実は人間臭くて臆病で、でも行動したいと思っている子で、僕自身も臆病な人間なので、そこに共感を持ててからは、すごくスムーズに進みました。

新福:私もスタジオオーディションで印象に残っているディレクションがあるんですけど、輝月が頭を肩に乗せている状態で「輝月」って水帆が名前を呼ぶセリフがあったんです。その距離感を音響監督のえびなやすのりさんが大事にされていて、「本当に顔も接するくらいの距離にいる輝月に向かって名前を呼ぶんだよ」と言ってくださったんです。自分でも近い距離感を意識して言ったつもりだったんですけど、それ以上に距離感にこだわりを持って音作りをされているんだなと思ったので、すごく印象に残りました。実際水帆役に決まったときも、距離感は大事にしていきたいなと思いました。

ーーお二人が演じるキャラクターについて、教えてください。

浦:羽沢輝月くんは、たくさんファンがいるようなイケメンで、学校では「恋ヶ浜ハイランズ」(※恋ヶ浜ハイランドという住宅地に住む4人の男子の総称)と言われる4人組の一人で、クールなわけじゃないけど掴みどころがない、元気だけど元気だけじゃない、みたいな、ひと言では言い表せない子です。そして、水帆のことが大好きで、どうにかして水帆と付き合いたいと思っている、すごく真っ直ぐな男の子です。彼の魅力について、原作の満井春香先生に「おっきいワンコだと思ってください」とずっと言われていたんです。「表情変化は少ないけど、水帆と一緒にいられて嬉しいし楽しいというのがにじみ出ていて大丈夫です」ということだったので、彼は、大型犬のようなかわいさがある子だと思っています(笑)。

ーー意外とグイグイいきますしね。

浦:そういう型にはまってないところも僕は好きで。キャラクターってある程度分類できると思うんですけど、彼ってどこに入るの?っていうような複雑なところがあるんです。それが、ほかのキャラクターにも影響を与えていくところがある。満井先生のキャラクターの作り方が面白いからこそ、この作品は面白いんだと思います。

ーー人って、いろんな面がありますからね。では、西野水帆はどんな子ですか?

新福:水帆ちゃんはどこにでもいる普通の女子高生なんですけど、周りにイケメン幼馴染が4人もいるというところが、まったく普通じゃないんです。私が水帆の立場にいたら自慢しまくりだと思うんですけど、彼女はそうもならず、本当に飾らない普通の子で、夢に向かって一生懸命頑張ることができるんです。だから、自分が演じていても応援したくなるし、学生時代も大人になってからも「一緒に頑張ろうね!」って思ってしまうんです。見てくださる方にも感情移入してもらえる、いろんな人から共感を得られるヒロインだと思っています。

ーー水帆については、先生から何か言われたことはありますか?

新福:「かわいくなりすぎずに」ということは言われていました。男の子と一緒に育った部分があるので、女の子ではあるけど、男子ノリに付いていける部分も持ち合わせているんです。だから「飾らず、かわいくなりすぎず、ヒロインというのを気負わずにやってください」と言われていました。

ーーそれぞれ、お芝居についてはどのようなアプローチをしていったのでしょうか?

浦:彼が生きてきた人生とも違うし、培ってきたものも違うので、なぜここでこうするのだろう?とか、最初はよくわからなかったんです。それこそ第1話のシャワーのシーンで、あんな風に行けるメンタルが僕にはないから、よく行けるな!と……。なので、なぜそこで行こうと思ったのかをいろいろ考えたりしたんですけど、彼って根っこの部分は単純なんですよね。作中では表情変化が少なく、ミステリアスな部分があるんですけど、シンプルに水帆が好きで、水帆と一緒に過ごしたい、彼氏になりたいというだけなんです。で、そこのアウトプットの仕方がすごく下手なんですよね。あんなに表情豊かな友達がいるのにって思うんですけど、だからこそなのか、自分というものを形成していくうちに、こういう輝月になったのかなと思いました。

ーー水帆が好きという気持ちが、まず根っこにあるんですね。

浦:そうです。水帆が好きだから行くのであって、そこまでの気持ちを、どう芝居で埋めていこうかと考えていきました。あのシャワーのシーンも、相当勇気を出しただろうし、実際、焦りもあったと思うので、細かく細かく輝月の人間像を作り上げていきました。

ーー水帆はいかがですか?

新福:普通の子と言いましたけど、そうは言っても『なかよし』作品のヒロインなわけじゃないですか。それもあって、私には遠い存在のように感じていたんですけど、いざアフレコでディレクションを受けると、水帆にとってはすべての出来事が初めての体験で、全部が新鮮で、それを毎日ひとつずつ積み重ねて大人になっていく道中にいる女の子なんですよね。それを私が遠くに感じていたら表現もできないと思ってからは、水帆との距離も近づいて、本当にありのままの、普通の女の子を横から見ているような感覚で演じていけるようになりました。相手に向かって真っ直ぐに、ありのままをぶつけていけばいいんだと気づいてからは、すごくやりやすくなったと思います。

ーー印象的だったディレクションはありましたか?

浦:先程も少し話しましたが、先生からは、いわゆるアニメという感じではなく、等身大の生々しさ。簡単な言葉でいうと生っぽい演技にしてほしいというお話はいただいていました。声優人生の中で、あまりやることがない芝居ではあったので、そこに対するチャレンジの気持ちはありました。実際にやってみて、先生からは「この感じでお願いします」とおっしゃっていただけたので、そこから自信もついて、自分でも前のめりに、夢中になってやれたと思っています。

新福:第1話や2話を録っているとき、「高校生だから、もっとテンション高めで」というディレクションをいただいたんです。そこで「私もう、高校生のテンションについていけてないんだ、これはまずい」と思ったんです。それに収録が朝だったこともあって、眠くて……。

浦:甘えるなよ! 社会人はみんな働いている時間だぞ(笑)。

新福:本当にそうなんです。だからテンションを上げていこう!と思って、そこからすごく早起きをして、毎回朝カラに行って、好きな曲を5曲くらい熱唱してから収録現場に行くようにしたら、テンションについては言われなくなりました(笑)。

浦:(すごく感心しながら)へ〜! 桜ちゃん自身が、落ち着いた大人な雰囲気があるからね。確かに最初、テンションのところでちょっとだけ苦戦していた印象があったけど、言われなくなったのはそういうことだったんだ! しかもスタジオにだいたい一番最初に来ていたのは、それが理由だったんだね。

新福:はい。カラオケしてから行ってました(笑)。

ーー掛け合いが多かったと思いますが、お互いのお芝居の印象についても聞かせてください。

浦:この作品に合う瑞々しさをすごく感じました。アニメをあまりやったことがないと聞いていたんですけど、アニメの経験をしていくと、どんどんスキルは身についていくんです。でもそれって一長一短で、逆にそのスキルに頼ってしまって、本質の部分を突けないこともあると思っているんです。でも、彼女はひたすら、その本質を突こうとしながらお芝居をしていると感じたんです。もちろん、新人とは思えないくらい堂々とマイク前で演技されているし、実際に上手いんですけど、そこの根源の気持ちみたいなものをひしひしと感じたので、僕自身一緒にやっていてお芝居しやすかったです。言葉を引き出してもらえました。

新福:私としては、本当に余計なことを考えずに、水帆からの視点で言葉を渡そうという気持ちだけでした。余計なことを考えだしたら硬くなってしまう思ったので。でも、それこそ皆さんの人柄のおかげというか。最初のほうは、(アニメ経験が少ない)私や吉高志音(柏木深役)さんは、めちゃめちゃ緊張していたんですよ(笑)。

浦:めちゃめちゃ緊張してたね。ずっと「お腹痛いです」って言ってた(笑)。あと「全然寝れなかったです」とか。

新福:それくらいガチガチに固まっていたのを、浦さんはじめ、ほかの役者の方々が解きほぐしてくださったからこそ、何の気負いもなく水帆にぶつかれたというのはあると思います。あと浦さんは普段と輝月を演じているときで、本当に違うんです。真逆も真逆で(笑)。スタジオに入るときは、「おはようございます!!」って大声で入ってくるのに、輝月になると(小声で)「水帆……」ってなるので、ギャップがすごかったです。でも、しっとり演じられているのも素敵でしたし、すごく体温が感じられるんです。距離感がほかの3人より近いからというのもあるんですけど、ふとした瞬間の息遣いとか、水帆を呼ぶ声とかがすごく優しくて、ドキドキするような表現になっていたので、素晴らしいなと思いました。

浦:ありがとうございます!

ーー放送前に話せる範囲で、「恋ヶ浜ハイランズ」のほかの3人の紹介をお願いします。まずは、クールな優等生、柏木 深(CV.吉高志音)から。

新福:深くんは本当にかわいいんですよね。

浦:かわいい! かつ賢い。人の感情を汲み取れる大人な部分をすごく感じます。でも、自分の意思は固くあるから、僕は結構好きなキャラクターです。

新福:深くんはみんな大好きだと思います。賢いし合理的だし、何が大事かもわかっているんですけど、それでも水帆に対してあそこまでなっちゃうのって、よっぽど好きじゃん!と。それがビシビシ伝わってくるんです。あとはやっぱり声がついたことによって、より一層かわいくなったというか。カッコいいけど、かわいいんです!

浦:そうだね。それはやっぱり志音くんの声だからだろうね。愛嬌がないキャラだけど、その奥に、実はちょっと人と関わりたいというエッセンスが微妙に乗っているんです。

新福:その塩梅が本当に素敵だったので、ぜひ楽しみにしていただきたいです。

ーーなぜ勉強熱心なのかも、見どころですね。

浦:そうですね。だから現実にいたら、深が一番いい男なんですよ。

新福:よくアフレコでも言ってましたよね(笑)。

浦:現実にいたら、僕は深を選びます。

ーー続いて、人気読者モデルでインフルエンサーの和泉 藍(CV.千葉翔也)です。

新福:藍は、今の段階で言えることは少ないんですけど、飄々としていますよね。達観しているように見えて、いざ水帆が落ち込んだり迷っていたりすると、確信めいたことを言って背中を押してくれる。本当にみんなを見守っていて、みんなが幸せになることを心から願ってくれている存在だと思うので、涙が出ます。

浦:すごく思うのは、輝月よりも全然ミステリアスだということ! これは僕の持論なんですけど、表面的に明るい人のほうが、心の内を見せていないと思っているんです。それは外側を作って偽りの自分を見せることで相手を納得させているからで。逆にパッと見ミステリアスに見える人は、隠すことができていないから、ちょっと自分をわかってほしいと思っているところがあるんです。だから藍は、隠すつもりがあるんですよ。アニメを観ていても、本音を見せる瞬間が、4人の中では少ないほうだと思いました。それは彼自身が秘めたいという強い意思があるからで、その儚さみたいなところが、千葉翔也さんが演じたことで、藍の言葉や言い方に乗っているなと思いました。だから藍が何を考えているのか、みんなで一生懸命考えてほしいです。

ーー続いて、文学・サブカル少年でムードメーカーの星川周吾(CV.猪股慧士)です。

浦:周吾は盛り上げ上手です。輝月をやっていて思うのは、藍と周吾がいるおかげで周りが盛り上がるんですよね。アドリブで、みんなでガチャガチャっとしたガヤを録るときがあるんですけど、輝月はキャラ感が崩れてしまうからあまりしゃべれないです。そんなときに周吾が話を作って動かしてくれるんです。かつ包容力もある!

新福:私、周吾がいなかったらこの5人はどうなっていたんだろうと考えてしまうことがあるんです。高校生になって男4・女1のグループが、あそこまで仲良くいられるって、よほどの努力がないと難しいと思うんです。

浦:うんうんうん! 誰かが頑張っているんだよね。

新福:中学時代とか、思春期になると余計に難しいと思うのに、それでも仲が良いって、何かがないと無理だと思うんですよね。それは周吾がみんなを繋ぎ止めているからじゃないかって思ったんです。周吾が水帆をからかったりするシーンが多いんですけど、そういうのがあるからこそ、昔からの関係性が維持されているという見方もできる。それを周吾がわかってやっているのかはわからないんですけど……。

浦:わかってやっていると勝手に思ってる(笑)。人間関係において、一番頭がいい子だよね。

新福:そんな周吾だからこそ悩むこともあるので、そのときは応援してほしいです。そして、猪股慧士さんのお芝居も最高でした!

浦:最高だったよね。なんて言えばいいんだろう……楽しさがすごく乗っかるような感じ。

新福:猪股さんの演じる周吾は、軽さが出ているんですよ。高校生らしさというか。気の知れた仲同士でしか出ない軽さが出ていて、からかわれたときとかは、ホントにムカつきました(笑)。

浦:あはははは(笑)。そうだったんだ!相手がちょっとイラッとするような言い方、上手いよね(笑)。

ーーすでに伝わってきていますが、アフレコの様子について教えてください。

新福:浦さんが大きな声で廊下を走り回っていましたね(笑)。

浦:Aパートを録って休憩になると、皆さんブースから一度出ることが多いんですけど、Bパートは急に始まるので、その場にいないことがあって、いない人を呼びに行く係を僕がしていたんです。

新福:でっかい声でね。

浦:それでトイレにいた千葉さんを、「千葉さーん、始まりますよーー!!」って呼びに行ったら、「さすがに声が大きいよ」って、怒られました。

新福:マジなトーンで(笑)。

浦:おなじフロアでほかの収録スタジオもあるからなんですけど、それは普通に反省しました(笑)。

新福:でもその声を聞けると、こっちは元気が出るんです。このくらいはっちゃけていいんだ!って。

浦:だとしたら良かった。ガヤで来てくださっている方や他のキャストも若い方が多かったので、楽しくやりたいなと思っていたので。でも第1話からみんな楽しそうに話している現場ではありました。

新福:私は(緊張で)お腹が痛かったですけどね……。

浦:でも桜ちゃんも楽しそうに会話に参加できていたから、空気感は良い現場だったと思います。収録後も、みんなでご飯とかも食べに行ったし、千葉さんが高い焼肉を奢ってくれたこともあったので。あれが最高に美味しかったです!

ーーこの作品は、キュンキュンするシーンが多いじゃないですか。それを後ろから冷やかされたりしませんでした?

浦:千葉さんが毎回、「輝月、やってんなー!」って言ってましたね(笑)。

新福:あと女子陣からは、キスシーンとかで「ちょっと、許可取って…」って(笑)。

浦:それ、田所あずささん(倉敷千夏役)だよね。「何で急にするの!」って(笑)。それはそう!って僕も思ったので、「輝月がすみません」って謝るという。あと、輝月がキャーキャー言われるシーンがあったんですけど、僕の心の声が漏れて、「気持ちい〜」って言ってました。自分の演じるキャラクターが、女の子にキャーキャー言われることってあまりないので、これは役得だと思いました。

新福:すごく満足そうな顔をされていました……(笑)。

ーー少し作品からは離れますが、今振り返ればキラキラした出来事だったなと思う、学生時代の思い出はありますか?

浦:ないです! あはははは(笑)。

新福:でも、それに気づいてくださいっていう作品ですからね。

浦:そうだね。僕、こういう質問には「ないです」と答えていたんですけど、今回はいろいろ思い返してみたんです。僕、高校生の頃、ゲームクリエイターになりたくてプログラムの勉強をしていたんです。それまではあまり明確な夢も持っていなかったんですけど、ゲームを作るとなったとき、すごく熱中して。友達と一緒に役割分担をして、僕はプログラムで、他の人は絵を描いたり音楽を作ったりしていたんです。そのときがすごく楽しくて! あの瞬間は絶対にキラキラしていたなって思うし、あのとき楽しかったなって未だに思い返すので、忘れられない経験です。

新福:その話を聞いてしまったあとに話すようなことじゃないなぁ(笑)。あの時期だけのものって何だろうなと考えたとき、社会に出たら全然人に怒られなくなったなと思ったんです。

浦:確かにね。

新福:学生のとき、私、本当に悪ガキで、いつも怒られていたんです。高3の受験時期に、みんな勉強をしていたんですね。でも私と仲良しグループはどうしてもトランプがしたくて遊んでいたんですけど、当たり前のように怒られて没収され、ひとりずつ持ってきていたトランプも、ついに全部没収されて、もうトランプがない!となったあと、プリントを刻んで自作したんです。でも形が違うからゲームにならないんですけど、それだけ怒られてもトランプがしたかったな〜って思って。

浦:それがキラキラしていたかどうかはわからないけど、友達と遊んでいたという意味では、キラキラしていたのかな?

新福:でも、超楽しかったんですよ! どれだけ怒られても楽しかったという意味で、キラキラしてたのかなって(笑)。先生の引き出しは、私たちのトランプでいっぱいでしたし。

浦:それはキラキラとは関係ないけどね(笑)。

ーーでは最後に、放送を楽しみにしているファンへメッセージをお願いします。

浦:恋模様がすごく魅力的な作品です。原作の表紙が水彩で描かれていてとてもきれいなんですけど、アニメもその雰囲気を残したまま動くということで「一体どんな映像になるのだろう!?」とワクワクドキドキしながら映像を観ましたが、色使いが優しく寄り添ってくれるようですごく素敵でした。世界の明るさであったり、感情の機微が色を通して一緒に表現されているような、そういった映像にも注目してほしいです。そして声が付くことで、細かいニュアンスも伝わりやすくなっていると思うので、本当にそこで生きている彼らの空気感、恋愛模様をぜひ目と耳で体感してください。

新福:顔合わせのとき、この作品は実写的な要素があるので、という話をされていたんです。アニメで実写的ってどういうことなんだろうと思ったのですが、PVを観て、そういうことかと思いました。本当にどこかで起きていることを見ている、その世界を覗いている感覚になったので、自分の青春とか、自分の現状とかに照らし合わせながら観ていただけたらと思っています。原作ファンの方も、アニメから入る方も楽しんでいただける作品になっていると思うので、よろしくお願いします。