ーー『どうせ、恋してしまうんだ。』の原作をお読みになった感想をお聞かせください。
吉高:キラキラした青春が描かれていて、キュンキュンしました。一方で、感染症の影響のことも描かれているんです。僕はその世代ではないんですけど、修学旅行に行けなかったりするのは絶対に悔しいと思うんです。でも、この原作では、修学旅行や部活以外じゃないところでの青春も、すごくたくさん描いてくれているので、足りなかった青春を取り戻させてくれるような作品だなと思いました。
ーー幼馴染5人の関係性をご覧になって、いかがでしたか?
吉高:この5人を見ていて、めちゃめちゃ晴れているビーチに打ち寄せる波のキラキラ感を想像したんです。原作の表紙が水色で、水彩画っぽい感じなんですけど、アニメもそれを意識して描かれているそうなんです。それもあって“瑞々しさ”みたいなものも感じていました。あと、みんな自分の気持ちをちゃんと言葉にするんです。そんな姿を見て、自分も学生時代にそうしたほうが良かったんだなと思ったりしました(笑)。
ーーオーディションの思い出はありますか?
吉高:テープオーディションからだったのですが、「恋ヶ浜ハイランズ」の4人すべてを受けたんです。ただ、深で通るとは思っていなくて……。というかどの役でも受かるとは思っていなかったんですけど、高校生を演じるというのはすごく楽しくて、フレッシュな気持ちでオーディションをすることができました。そのときは確か、輝月を気合い入れて読んだ気がするんです。原作を読んでいて、その子犬感に引っかかっていたので、表現してみたいなという好奇心がありました。
ーーそう考えると、深は真逆ですよね。
吉高:そうなんです。ただ、テンション感で言うと、僕の普段の雰囲気に近いのは、深なんです。
ーー柏木 深役に決まったときは、率直にどんな気持ちになりましたか?
吉高:全然受かるとは思っていなかったので驚きました。TVアニメのお仕事をするのは今回が初めてなんですけど、最近自分の声を好きになれたので、自分の声を活かせるお仕事が、アニメであることが嬉しかったです。
ーーちなみに、自分の声が好きになれたきっかけはあるのですか?
吉高:それまで自分の声と向き合うことができていなかったんですけど、応援してくれている方々や関係者、家族から声を褒めていただくことが多かったんです。それで、もっと自分の声と向き合って、いろんな表現をしたいなと思うようになりました。
ーー柏木 深は、クールな優等生で、青ヶ崎高校の生徒会長ですが、深を演じるにあたって意識したことはありますか?
吉高:クールで優等生だけど、かわいい一面があるというのはすごく大事にしました。ベースにあるクールは、男ならばある程度できると思っていたので、かわいらしさをどれほど出すか、ということを大事にしていたんです。かわい過ぎてもあざといし、そこに“照れ”が含まれているところが深の魅力で、そこを僕は好きになったんです。クールに見えて、そういうところが見えるのは、ギャップ萌えで素敵だと思うので、それを意識していました。
あと、幼馴染の男子3人との会話では、クールだけどちゃんと仲が良い幼馴染ということは意識しています。ディレクションでも言われたことなんですけど、クール過ぎると素っ気ない奴になっちゃうんです。だから、いろんな学園モノのドラマを観たりして、クールな人の立ち回り方を勉強しました。
ーーそういう役は、演じたことがなかったのですか?
吉高:クールな役はあったんですけど、優等生でクールって、また少し違っていて、それに恋が絡んでくると、完璧な人でも人間らしさが出てくるんです。それは深ならではのところなのかなと思いました。
ーー深と似ているなと思うところはありますか?
吉高:演じれば演じるほど、深に近いなとは感じています。普段、僕は物静かなんですけど、周りの方に「クールそうに見えてかわいいところがあるね」って言っていただくこともあるし、照れたりもするので、そういうところは似ているのかな?って思います。あと、似ていないところでいうと、頭ですね(笑)。僕は深ほど勉強はできないので、そこは確実に違います。
ーーそれでは、幼名馴染5人組について聞いていきたいと思うのですが、漫画家を目指す高校2年生、ヒロインの西野水帆をどう思いますか?
吉高:水帆はTHE・ヒロインという感じがします。でも、読者の方はどう思っているんですかね? 僕だったら嫉妬しちゃう気がします。こんなイケメンたちに囲まれたら羨ましいじゃないですか(笑)。でも、今をすごく頑張って生きている子なので、応援したくなります。
ーー深と水帆の関係性についてはどう思いましたか?
吉高:僕は深として収録しているので、深、頑張れ!ってなっていました。深なりにすごく頑張っているし、実際に水帆のことが好きというのはすごく伝わってくるんです。輝月とはまた違うアプローチの仕方ではあるんですけど、そこで先程も話していた“照れ”が出ているから、すごく愛おしいんですよね。そして、そこが応援したくなるところでもあるんです。
ーー輝月は、水帆に対して真っ直ぐに行きますからね。
吉高:こんなに真っ直ぐ行くんだ!って驚きますよね。しかも水泳部だから、ほぼ上裸で気持ちを伝えたりするわけじゃないですか。どんなシチュエーション?って思ったりします。でも、ストレートに伝えるところは本当に素敵だなと思うし、見習いたいと思いました。
ーーでは、その輝月については、どんなキャラクターだと思っていますか?
吉高:THE・主人公で、ピュアなんですよね。ピュアで繊細だからこそ、壊れてしまうんじゃないか?と心配になるところもあるんですけど、弟感も強いので、見守っていたい存在です。
ーー先ほど、オーディションでは、輝月に力を入れて演じていたと話されていましたが、浦さんの声を聞いていかがでしたか?
吉高:浦さんのお芝居を聞いて、自分の想像する輝月がより深まりました。僕は子犬感のところだけでしか解釈できていなかったので、もっとワイルドだったんですよね。輝月の男らしいところを浦さんが表現されていたので、すごいな!と思いました。ささやくくらいの声量で、すごく深いお芝居をされているので、勉強にもなりました。それを受けてではないんですけど、自分のシーンでは、自分にしかできない深を突き詰めていきたいと思いましたし、深は自分しかできないと思うようにしました。
ーー人気読者モデルでインフルエンサーの、和泉 藍はどうですか?
吉高:個人的に好きなキャラクターです。自分の好きなことをして、好きなように生きているのが魅力的だと感じています。ちゃんと抱えているものもあって、いろんな顔が見られるのもすごく好きなところです。実際に一緒にいたら、自分の抱えているものが楽になるような存在だと思っているので、友達にほしいです。
ーー文学・サブカル少年で、ムードメーカーの星川周吾はどうですか?
吉高:メガネキャラってズルいですよね。普段おちゃらけているけど、メガネを外したら急にキリッとするみたいな印象があるじゃないですか(笑)。この作品に、そういうシーンがあるかはわからないですけど。あと、仮にお付き合いして、結婚するとなったら、僕は深派ではあるけど、周吾も捨てがたいと思っています。あんなに美味しそうな料理が家で出てきたら、とてもいいんじゃないでしょうか。まぁ、僕も料理をするのが好きなので、負けたくないですけど。
ーーアニメで注目してほしいペアを考えるとしたら、誰と誰になりますか?
吉高:収録をしていて思うんですけど、水帆を巡っての輝月と深の関係性ってグッとくるものがあるんですよね。弟的存在の輝月が一歩先を行ったかと思ったら、また深がアプローチして、それに気づいた輝月がまた頑張る…そんな2人の関係がすごく好きで。それって幼馴染だからこそできることでもあるんですよね。あと、友達としても、純粋にこの2人が並んでいたら強いなぁって思いました。ビジュが何より強いですよね。
ーーアフレコでは緊張されていたそうですが、アフレコの思い出はありますか?
吉高:録り終えたのに全然慣れていないんですけど(笑)、前日絶対に寝られなかったんです。初めてのアニメのお仕事で、現場での立ち回り方もわからないですし、みんなは慣れているかもしれないんですけど、僕はソワソワしちゃって……。スマホの通知が鳴ったりしないかな?とか、ずっと気にしていました。
ーー雰囲気はいかがでしたか?
吉高:本当にみんな仲が良くて、収録が終わってからも皆さんとご飯に行きましたし、それこそ聖地である鎌倉に、みんなで行けたらいいねって、毎月スケジュールを合わせようとするんですけど、全然合わなくて。もう冬になっちゃうんですよね……いつかみんなで行きたいです。だから原作通り、僕らもわちゃわちゃしている感じでした。
ーー聖地はもう、仕事で行くしかないですね。
吉高:そうですよね! スタッフさん、連れてってください! そのほうがきっとスケジュールが合うので(笑)。
ーー今振り返ればキラキラした出来事だったなと思う、学生時代の思い出はありますか?
吉高:クラス選抜のリレーが楽しかったです。僕、足だけは速かったので頑張ったんです。クラスの順位的にはいい順位ではなかったんですけど、みんなが応援してくれる声だったり、必死に頑張って走ることだったり、でも練習よりも力が入ってしまって上手く走れなかったり、そういう悔しい思いも全部含めて、キラキラした青春だったなと思います。
ーー最後に、放送を楽しみにしているファンへメッセージをお願いします。
吉高:学生の皆さんには、今生きている青春を大事にしてほしいです。僕は“キラキラ”も生き物だと思っているので、それを絶対に取りこぼさないでほしいし、ちゃんと掬い上げて大事にしてほしいなと思います。その想いは原作にも込められているので、アニメを観て、もっと自分の気持ちを素直に伝えていいんだとか、前向きな気持ちになってくれたら嬉しいです。